変化する香り

前回、「香りが違うのか?、鼻が違うのか?」で言及した感覚に、再度言及してみたい。

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写真は、左からレモングラス、リツェアクベバ(メイチャン)、ユーカリレモン(ユーカリシトリオドラ)。いずれも植物学的には共通項はない。しかし、香りには一つの共通項がある。レモン香である。
しかし、成分的にはレモンとはずいぶんと開きがあり、共通成分は微量だ。

特に両側のレモングラスとユーカリレモン、そしてリツェアクベバの「レモン香」は、アルデヒド類シトラールが(70~80%を占める)実態で、微量にしか持たないレモンとは内容的には一線を画している。

私はそもそも、レモンすら最初は苦手であったが、この両者との最初の出会いはより強烈な嫌悪感を抱かせるものだった。胸の内にむらむらとした気持ち悪さを残すこの香りに、なにか間違えて購入したのかと思わせるほど、「エッセンシャルオイル」という(当初私が勝手に抱いていた)イメージとは相容れないものでした。

最初はレモンですら強い拒否感を抱いていたので、この「レモン香」への失望感は大きいものでした。
しかし、レモン自体への苦手意識は半年ほどで無くなり、一年ほどでその良さが理解できるようになりました。

で、次第に私の鼻は、レモンとレモングラスの違いを判別できるようになり、レモンの中のリモネンと、レモングラスやユーカリレモン、そしてリツェアクベバのシトラールの存在をうっすらとではありますが、認識できるまでに到ったわけです。

この間何が私に起こったのか。

想像の範疇ではありますが、香りに係わる脳細胞が、3年程掛かってそのニューロンが繋がってきたのだと勝手に考えています。

そう、精油が変化したのではなく、私の鼻とそれに繋がる脳が変化したのです。

時々私はアロマショップに出かけ、遮光瓶の購入がてら店の女性店員との会話を楽しんでいるのだが(楽しんでいるのは私だけかも!)、以外とそうした認識は私だけでは無いようです。皆さん、苦手なものはお持ちで、またそれは時間と共に変化していくようである。

以前にも書いたことだが、レモングラスはメリッサの代用品としても使われている。不思議なことだが、「多分使われているだろう」レモングラスを含んだ、ニセモノのメリッサには嫌悪感を感じなかった。何故かは今も解らない。もしかしたら、偽和の主成分はリツェアクベバ(メイチャン)であるかもしれない。これも、ヨーロッパではメリッサの代用品としての地位は高い精油とのこと。

現在は、嫌悪感を越えるほどに、時々ではあるがレモングラスの瓶を手に取る機会が多くなった。といってオイルを消費しているわけではない。「良い香り」と感じ鼻に近づけはするのだが、本格的に使うまでには到っていない。

しつこいようだが、このシトラール系のオイルにもう少し言及したい。

柑橘以外のレモン香のオイルの正体は、このシトラールであるように感じている。たとえば、シトロネラはそうである。夏の蚊よけと「メリッサに似たさわやかな香り」に釣られ大きな瓶で購入して後悔したことがある。「さわやか」という中途半端なシトラール(シトロネラール)の香りは、レモングラスの強烈な香りの方がまだマシと思った。パルマローザも同様である。カユプテにも若干共通項があるが、これはフトモモ科精油のティーツリー、ユーカリ(ユーカリレモンを除く)に近くこれは「許せる」(?)。

私と同様の感覚を抱いた方は、是非上記オイルの購入時には注意して頂きたい。・・・おっと、「買うな!」と言っているわけではありません。大きな瓶より小さな瓶での購入を、是非お勧めします。
「あ、ダメダ」と思ったら、しばらくタンスの中(防虫になるからネ!)あるいは食器棚に保管して、でも、時々香りを確認してみて下さい。
きっと一年、二年経ったら、宝物に変化しているかもしれません。

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