勘違い

某エッセンシャルオイル販売サイトのレビューを何気なく見ていた。
思っていたより、「勘違い」に気づかない方たちが多いことに気付いた。
一部紹介を兼ね、二言三言付け加えたい。

■ 万能薬?アロマコーディネーターの勉強をしていますが、ジュニパーはダイエットやセルライトにも効くし、二日酔いにも良いこと、また香りにもすごく癒されます。仕事で使う際、人気ですが、私も大のお気に入りの一つです。

この方の購入されたのはジョニバーベリーでした。一般的にメディカルアロマで用いるのは一般的なジョニパー(ブランチ)で、ジョニパーベリーではない。「ジョニパーベリーでは全くダメ」というわけでもないので「これは間違い」と一方的に否定はできないが、気になる「思い込み」である。そして、「ダイエット」に効きましたっけ?。早速手元の本に当たってみると、そのように書いてありました。その手元の本から「ダイエット」に効くエッセンシャルオイルをいくつかピックアップすると、シダーウットアトラス、サイプレス、グレープフルーツ、ゼラニウム、ブラックペッパー、ユーカリレモン、ローズマリーカンファーとたくさん出てきました。であれば、その恩恵は私にも授かっても良いはずなのですが、そのような現状ではありません。
私は、長年のPC操作が原因で指の関節炎に苦しんでおり、現在サイプレスとジョニバーベリーのブレンドで対応しているのですが、効いたか効かなかったかは微妙な所です。辛いのは今も変わりません。しかし、関節炎や頭皮コンディション等に紛れてダイエットを滑り込ませるのは、出版の姿勢として疑問に感じます。また、それを鵜呑みにすることも注意しなければなりません。肥満を病と同列に扱ってはいけません。太りすぎは良くはありませんが、良くある肥満は人の「感じ方」の問題でもあるわけです。ダイエットも「心の問題」と重なってもいます。エッセンシャルオイルを万能薬にしてはいけません。
一概に言える事ではありませんが、「期待」が「事実」に変化することはこの世には往々にしてあることです。私も時々犯すミスですが、情動的にアロマを理解してはならないと思います。

■ 咳が止まります
これ(ジンジャー/フランス)とサイプレスで咳が止まると書いてあったので、早速アロマで入れてみたら本当に止まりました!咳がひどくて眠れない人にお勧めです。

はて、ジンジャーが呼吸器疾患に効いたっけ?
と思い、早速調べたが、確かに効くようだ。そういえばそうだ。日本では昔から生姜は風邪に効く民間薬でした。しかし、長年呼吸器疾患で苦しんできた私が疑問に思ったことに「疑問」を持った。
で、早速サイプレスを0.3ml、ジンジャーを0.1mlブレンドして10%の割合になるようキャリアオイルを加えた。偶然の事だが私は、ちょうど今風邪気味で3日前からユーカリ、サイプレス、ローズマリー、ティーツリー等で一進一退の状況にある。試すには好都合だ。結果は後ほど。
で、ジンジャーが私の認識内になかった理由が、胸に塗ってみてからわかった。
ジンジャーは肌刺激が比較的強く、注意が必要なオイルであったのだ。香りもいまいちなので大分昔に呼吸器対策の候補から外れていたわけだ。
私の胸は、長年の実験場でもあったので、肌荒れに対する耐性はかなり低くなっている。しかし、咳は止めたいので10%の高濃度で試験に入ったのだが、果たして。

■ いい香り・・・ですが、かなり癖のある香りに感じました。
間違いなくジャスミンなのですが、その奥になにか鼻に付くムンッとする香りがあって、素直にいい香り!とは言えない何かが…。続けて使用するのはちょっと苦しくなります。
香りの好みはそれぞれなのでやっぱり試してみないとダメですね。次の購入は無いです。
(ジャスミンハーバルウォーター/フランス)

この方は残念なことに、ちょっとした思い違いから、素晴らしいジャスミンの香りから遠ざかりつつあります。
最初「ムンッとする香り」の記述を見て、インドールの香りを感じたのかなと思ったのですが、購入された商品を見て「???」。この方はジャスミンのハーバルウォーター(フローラルウォーター/芳香蒸留水)を求められたのでした。
「え、ジャスミンに蒸留水てあったの?」が一番の疑問。
そもそも芳香蒸留水は、水蒸気蒸留法で得られたエッセンシャルオイルの副産物。つまり残留物です。しかし、ジャスミンオイルは水蒸気蒸留法ではなく溶剤抽出法(アブソリュート)で得られるオイルです。なぜジャスミンが水蒸気蒸留法で採油されないか?。それは香りが壊れるからです。
それぞれの植物から、エッセンシャルオイルを抽出する方法にはいくつかありますが、どの方法を取るかは、香りの問題、コストの問題等いろいろあります。最も適切な方法を選択することは、イコール最善ではあっても完ぺきではありません。たとえば、ジンジャーは、私たち日本人の身近にあふれているので、その素晴らしい真の香りを理解しています。しかし、最善の方法である水蒸気蒸留法で採油されたオイルの香りは、決して期待に副うものではありません。特殊な生臭さが伴い、生姜の清々しさが消えてなくなるのです。

市場に水蒸気蒸留法と溶剤抽出法の二種が出回っている特徴的な例は、ローズです。
水蒸気蒸留法で得られるのは、ローズオットーとして流通しており、最高の香り、最高の価格です。溶剤抽出法で得られるローズアブソリュートも同様にいずれも最高なのですが、オットーには一歩譲ります。
こちらの「なぜ水蒸気蒸留法」の理由はコストです。消費する花の量は4倍といわれています。

私は、ジャスミンのハーバルウォーターを求めたことがないので断定的に結論は出せませんが、ハーバルウォーターが目的でジャスミンを水蒸気蒸留法にかけたのではないかと推測しています。売る方も売る方ですが、残念ながらそういうものが売れる日本の消費者なのです。

以前、購入したオイルに、水蒸気蒸留法で得られたベルガモットオイルがあります。柑橘類はそんな手間などかけずともギュッと絞ってしまえばオイルが得られるはずなのに、なぜ燃料費を掛けてまで作ったのか、興味があって購入した一品があります。届いてから香りを確認してがっかりした記憶を今でも覚えています。そして、「なぜそんなものを作ったのか?」の疑問は解けずじまいでした。しかし、この一件で納得した次第です。某サイトにはオレンジとグレープフルーツのハーバルウォーターも販売されていました。
日本ではミカンを焼いて食する方もいるので、また独特の香りがするのでしょう。

この方には気の毒でしたが、いずれ本物のジャスミンアブソリュートに触れていただきたいものです。そしてお勧めは、ジャスミンのグランディフローラムとサンバックの2種を比較していただくことです。グランディフローラムには排泄物に含まれるインドールが微量含まれます。そしてこれがジャスミンの恍惚感を高めるキーとなっています。一方、サンバックには含まれていません。こちらはジャスミン茶の原料でもあります。
ジャスミンには香りの奥深さがあります。寄り道も一興ではありますが、最初にいきなり迷うのは残念なことです。

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