中国の「香り」

最近、中国茶にはまっている。_DSC0917

そもそも、10年くらい前に中国の友人に来日のお土産で中国茶を頂いたのが始まり。
もともと関心もあり、もともと中国との付き合いは40年にわたり、その40年間中国茶に関わらなかった事の方が、どんなことにもすぐに夢中になる私にとって不思議なことでもあった。
お茶があるなら茶器が必要だろうと、中国雑貨を扱う店で、安い茶器一揃いを購入したのが8年前。いろいろ試してみて、良くわからないまま今に至っている。

そもそも「美味い」とは思わなかった。頂いたお茶は、鉄観音茶と普洱茶(プーアル茶)のセットだった。鉄観音茶は確かに良く知っているウーロン茶の仲間で、飲みなれた味なので、別途追加で購入もし、暫し楽しんでいた。しかし、プーアル茶はいただけなかった。そもそも、中国の友人の前では言えないことだが、「怪しげなお茶」としか思っていなかったから、中国茶の美味しさの基準を確立できずに、距離ができてしまった。

実は距離のできる理由はもう一つあったようだ。そう、その理由は最近認識した。
当時は、中国茶が高かったのだ。
「得体の知れぬもの」に金をつぎ込むことはできなかった。なにが美味しくて、何が本物で、とにかく「中国」は玉石混淆で、「玉」を知るにはそこそこに投資が必要で、当時の私にはそんな金も時間も関心もなかった。安物の茶器一揃いと青茶若干を購入しておしまい。特別美味しくもなし、特別良い香りを実感できたわけでもなく、「なんだ、こんなものか」で一区切りがついていたわけだ。もうひとつ、安物の茶壺が壊れてしまった。どのように壊れたのかすら今は覚えていない。

では、なぜ再点火したのか。

最近、残っていた普洱茶(プーアル茶)を飲んでみた。「なんでこんなに黒いのか」と思いつつ口に含んでみて感じたものは、以前とは違った感覚だった。「美味くもないが、不味くもない」。しかし、知らず知らずに何度も湯を足し、口に運んでいた。
そして、なんでこんなにも煎じられるのか・・・・。

日本茶は、入れ方にもよるがせいぜい美味しいのは3~4煎目までである。なんといっても二煎目以降は味と色のついたお湯である。しかし、美味いか否かは別として、普洱茶(プーアル茶)の美味さは、3~4煎目以降にある。そして、入れても入れてもお湯は薄くならない。10~20煎はいく。
「これは面白い」と、普洱茶(プーアル茶)の事を調べ、がぜん興味がわいてきた。

で、ヤフーオークションを訪れると、10年前とは違った状況がそこにはありました。

茶葉が安い。茶器が安い。もちろん高いものもあるし、「勘違い」のものもたくさんあります。しかし、どうやら本来の価格に戻っているようでした。

2004年頃に中国では普洱茶への投機熱が発生し、一気に普洱茶の価格が高騰したようです。普洱茶は中国の国民にとっても「普通のお茶」ではなく、なかなか口に入らない、特別のもののようです。普洱茶の歴史を調べてみるといろいろ不思議なことがわかりますが、それは今ここで述べるのはやめておきましょう。しかし、その特徴はワインにも似て、時間とともに熟成し「美味しくなる」というので、中国の余った金がここに流入したというのです。
当時の中国のニュースに、『一人の女性が六筒の百年普洱珍品を78万元で競り落す!!』というのがあったそうで、広州のオークションでもともと日本円で10~20万円程度のお茶に1000万円の値がついたというのですから、すごいものです。この女性のお茶も、今は値が戻り、990万円が異次元の世界に飛んで行ったことでしょう。(ちなみに、一筒は下写真の357グラムの塊が7枚)DSC0886-cat01

さて、ここに掲載したお茶は「大益七子餅茶7262」の2007製造のものです。実はネットオークションで入手しました。「たぶん」ですが本物であれば現在2~4万円のものと思われます。私は数千円で入手しました。さっそく357gある茶葉の塊を半分ほど崩し、その一部を頂きましたが、「トンデモナイ」偽物ではないようです。

では、2~4万円の価値はあるかと問われれば、ビミョーな所でしょう。美味いかそうでないかは、その人の舌にかかっています。この塊ひとつで357グラムあり、一度に使う茶葉の量は3~4グラム。その分量で最低10煎は飲めるので、一人の一日分の量と言えます。その価格が300円とすると価値判断は難しいですね。
でも、数千円で入手した「味のわからない」私にとっては、それでもお買い得でした。

投機の煽りをうけ、普洱茶(プーアル茶)には偽物がたくさんあると聞いています。「トンデモナイ偽物」の中には、只々苦いだけのものもあるようで、特に10年物、20年物と言われるものにはそのようなものがあるようです。
ですから私は、ただ運が良かっただけかもしれません。

ちょっと不思議な世界を垣間見て、その一部を報告しましたが、まだまだこれでは終わらない、不思議な中国事情は、まだ続きます。

因みに、中国茶専門店での普洱茶(プーアル茶)の価格は、2~3年物で100グラム1000円程度でしょう。

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