香りが良いか悪いかはシチュエーション次第

少々臭い話を最初に取り上げよう。

9月30日のニュースに、「バキュームカーがチョコのにおいに!?」という見出しで、香料の開発でトイレ汲み取りのバキュームカーがチョコレートの匂いに変身するという話題だ。トイレ汲み取りで近隣に流れる糞尿の臭いをチョコレートの匂いに変えるという。
現在の日本の水洗化率は50%である。都市部ではほぼ100%に近いのであろうが、地方ではバキュームカーはまだまだ現役だ。
bacyomcyoko
アロマに若干の知識を持つ方には、「なるほど」とうなずける事柄でもある。ジャスミンに含まれるインドールはそもそも「糞便」の主たる香りでもあり、ジャスミン・グランディフローラムの官能的香りを支えているのがインドールだ。だから、上記発想はわからないでもないし、可能な技術でもある。
しかし、「ちょっと違うだろー」とツッコミを入れたくなる話でもある。

私の実家が最北の町、稚内なのでよく高速バスで行き来することが多い。一度その車内で出会った小さな出来事を紹介したい。

バス座席の中程に座り走り出して小一時間してから、なんとなく車内に妙な匂いが漂いだしました。「糞便の匂い」と断言できない妙にそれっぽい匂いでした。はじめ赤ん坊のおしめの取り換えかと頭をよぎりましたが、赤ん坊は乗っていません。空気の流れの加減で何度も香ってくるので、誰かのオナラでもないようだしと、原因不明のまま30分ほど過ぎていきました。

と、そこで「ポリポリ」と固めのお菓子を食べる音が時折することに気づきました。別の乗客が後ろの座席でお菓子を食べる音でした。そして、その匂いが、油で揚げた米菓の香りであることに気づきました。
そう、揚げ菓子と糞尿の匂いは実は似ているのだと、初めて実感した出来事でした。
普段の生活では「糞尿」と「揚げ菓子」は、全く別物であるし、「似たもの」などと連想すること自体あってはならないことです。しかし、この時私の意識の中では繋がったのです。

もう一つ、この記事を久しぶりに書く気になった出来事を。

朝方、夢を見ていました。最近、中国茶やダージリン茶に夢中になっていて、それが夢に出てきました。少し青味の残る干した牧草の香りのプーアル茶です。「ああ、とても良いお茶を手に入れた」と夢の中でほくそえんでいました。私の今持っているプーアル茶の中でも最上級に位置するでしょうか。と、にやけていると「ギャアーギャアー」と飼い猫が耳元で泣き叫び、安眠は妨げられました。puaru1836

このプーアル茶は少々「高い」。一回の茶葉分で60円。しかし、10煎以上は出せるので、半日から一日これ一回で済む。飲んだ満足感はワインや大吟醸に近く(と、思っている)、近頃はお酒がめっきり少なくなった。

「クソ・・・」と思いつつ、その香りを思い出していると、実際に「感激」の抜け落ちた近い香りがしています。どうやら私の体臭のようで、夜具の中から漂ってきます。
前日、風呂に入った際に使ったコロンはプチグレンベースのもので、しかし、プチグレンの香りではありません。
寝る前に足の皮膚あれに塗ったかゆみ止めクリームが、ティーツリー、ペパーミント、ヤローのブレンドで、これの香りでもない。
たぶん、それらがいろいろと混合されて、私本来の「臭い」体臭とブレンドされ、たまたまで乾草の香りになったのでしょう。
自分の体臭で「お茶」を夢見るなんて、まさに「夢」のなせる業でした。

香りが良いか悪いかはシチュエーション次第

バキュームカーの問題に話をもどそう。場面設定で同じ香りが良くも悪くもなるということを長々と話したが、実はこの関係は逆転することもありうる。つまり、「糞尿を扱う車からチョコレートの香りがするのはたまらん」ということになりはしないか。
糞尿は臭くて当然で、一時の我慢ですむが、お茶を飲むたびに誰かの体臭を。チョコレートの包みを開けるたびにバキュームカーと糞尿を連想するのは、ちょっと地獄である。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. ファン より:

    最近更新が途絶えて悲しいです。
    ちょくちょく見に来ているのでまた更新してください!